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オペラ

「白狐」

(全3幕)

​解説

<解説>

〜第3幕〜

観音堂の丘に建つ隠れ家で、コルハが機を織りながら赤ん坊に子守唄を歌っているところへ(アリア「眠れあかごよ」~コルハの子守唄~)、巡礼の一行が現われ、施しを乞うてくる(混声合唱「巡礼の祈り」)。コルハは施しを与え、巡礼の訳を尋ねると、その一行は葛の葉の従者であり、保名の生還を祈願し、寺から寺へと巡ってきたことを明かす。さらに、今日こそが最後の三十三番目のお寺に向かうところであり、望みの消えた葛の葉は、明日尼になる覚悟であると聞かされ驚く。

 

巡礼たちが去り、そこへ戻った保名へ、コルハは苦しい気持ちを抑えて、その寺に居る女性に会いに行き、お守りと告げて渡すようにと、自分の袖を引き裂き、保名へ渡す。気が進まない保名は、コルハの重々しい言葉に驚き、渋々寺へと向かう(レチタティーヴォ「保名との別れ」)。

 

コルハは偽りの葛の葉の姿となり、保名と過ごした事への懺悔と、我が子への惜別の気持ちを独白し、我が子に魔法の宝玉を与えると、次第に魔力が衰え、コルハは狐の姿に戻り始める。書き置きを残そうとするが、手は狐の前足に変わり筆を持つことすら叶わず、口に咥えた筆で、懸命に壁に書き残そうとする。巡礼たちの歌声が近づき、コルハは窓を飛び出し、森の中へと戻って行く。不可思議な出来事で狐につままれた思いの保名は、葛の葉と巡礼たちと共に隠れ家へと戻り、壁の書き置きを読み、恩人の正体は保名がかつて助けた白狐だと悟り、余りの衝撃にひざまずき、祈りを捧げる。葛の葉はコルハの愛の犠牲に応えて子どもを抱き上げ、悲しみの中、幕が下りる(フィナーレ「コルハの残した心」)。

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